店舗に持ち込まず着物を売却したい人は、自宅から申し込める取引方法を選ぶ必要があります。
店舗なしの手段には宅配査定と訪問査定と写真査定の三通りがあり、それぞれにかかる送料と査定時間が異なります。
査定額を上げるには、証紙や付属品をそろえたうえで、保管中の汚れを除去してから申し込むことが重要です。
梱包時の破損や個人情報の流出を避けるためには、輸送保険の上限と契約書面の記載内容を事前に確認してください。
この記事では、三つの取引方法の特徴と申込み前の準備手順を整理し、着物を納得の条件で売却するため方法を解説します。
店舗なしで着物を売る方法は三種類に分かれている
着物の売却方法には、店頭へ持ち込まなくても取引できる手段が複数あります。
自宅から対応できる方法は、外出が難しい人や近隣に店舗がない人にとって有効です。
現在利用されている非対面型の買取方法は、以下の三つに分類されます。
方法 | 概要 |
---|---|
宅配買取 | 発送キットで梱包し、宅配便で業者へ送る。査定後に入金される。 |
出張買取 | 査定員が自宅を訪問し、その場で査定から契約まで完了する。 |
写真査定 | 着物の画像を送信して仮査定額を確認する。宅配や出張と併用されることが多い。 |
それぞれの流れや費用、申し込み条件を把握したうえで、取引前に比較検討することが大切です。
宅配買取は梱包と発送をおこなえば自宅で契約まで完了できる
宅配買取では、段ボールなどに着物を梱包し、業者へ発送することで非対面のまま契約が完了します。
申し込みは公式サイトや電話で受け付けており、自宅に発送用キットが届いた後は、以下の五つの手順に沿って進行します。
- 買取業者の公式サイトまたは電話で申し込みをおこなう。
- 発送用の段ボールや専用キットが自宅に届く。
- 必要書類とともに着物を梱包し、指定された方法で発送する。
- 査定結果の連絡を受け、金額に同意するかどうかを判断する。
- 同意後、指定口座に代金が振り込まれる。
宅配買取は、外出せずに完了するため、時間の自由度が高い点が特徴です。
一方、送料や返送料は業者によって利用者負担となることもあり、査定額に同意しない場合はキャンセル料を請求される可能性もあります。
費用面の条件は、申し込み前に必ず確認しておくことが重要です。
出張買取は訪問日時と査定条件を調整すれば玄関で取引が終わる
出張買取では、査定員が利用者の自宅を訪問し、その場で着物の確認と査定をおこないます。
電話や申し込みフォームから予約ができ、希望した日時に担当者が訪問する仕組みです。
玄関先で査定から代金の支払いまで完結できるため、荷物を持ち出す手間を省けます。
出張買取には、訪問対応ならではの特徴が三つあります。
- 全国対応または一部地域限定など、業者によって対応エリアが異なる。
- 代金は現金による即時支払い、または後日振込となる。
- 着物が複数点ある場合でも、自宅内で査定と契約が完了する。
出張による査定は、点数が多い着物や重たい反物をまとめて売却したいときに最適です。
査定当日は本人確認書類の提示が求められることが多く、業者によっては家族の同席を必要とする場合もあります。
写真査定は画像と情報を送信すれば事前に仮価格を把握できる
写真査定では、スマートフォンなどで撮影した着物の画像を業者に送信し、仮の査定額を提示されます。
発送前におおまかな価格の目安を得られるため、申し込み前の比較材料として利用されています。
写真査定で提出する主な情報は、次のとおりです。
提出項目 | 内容の例 |
---|---|
着物の画像 | 全体、タグ、証紙、汚れのある部分などを複数枚撮影する。 |
状態の説明 | 使用頻度、保管環境、傷やにおいの有無などを記載する。 |
種類と用途 | 訪問着、振袖などの種別と、着用目的(冠婚葬祭など)を明記する。 |
仮査定の内容に納得できる場合は、宅配買取へ進む判断材料として利用できます。
ただし、画像では実物の質感や細部まで判断できないため、本査定で金額が変動することもあります。
所要日数や送料負担の有無、キャンセル時の対応を比較し、自分の状況に適した手段を選ぶことが大切です。
店舗を持たない着物買取業者の中から信頼できる5社を紹介
着物を自宅から売却したい場合は、宅配や出張に対応する非対面型の買取業者を選ぶ必要があります。
では、店舗に足を運ばなくても査定から支払いまでを完結できる五つの業者を取り上げます。
対応方法や手数料の有無、専門性の違いをあらかじめ把握しておくことで、納得のいく選択につながります。
バイセルは即日出張と非対面完結に対応した大手買取業者

項目 | 内容 |
---|---|
対応方法 | 出張・宅配 |
店舗利用の要否 | 不要(完全非対面で申込み可能) |
査定料 | 無料 |
返送料 | 無料 |
特徴 | 全国即日対応の出張が強み。査定員の教育体制が充実し、高齢者や女性の利用者にも配慮あり。 |
バイセルは、電話で申し込めば全国に出張対応できる着物買取業者です。
店舗に足を運ばず、出張と宅配のどちらの方法にも非対面で対応しています。
査定員は着物に詳しく、自宅での即日査定も依頼できるため、迅速に売却を進めたい場合に向いています。
福ちゃんは汚れた着物や作家物にも対応した査定体制がある

項目 | 内容 |
---|---|
対応方法 | 出張・宅配 |
店舗利用の要否 | 不要(非対面完結可能) |
査定料 | 無料 |
返送料 | 無料 |
特徴 | シミや汚れがある着物にも対応。礼儀正しいスタッフによる対応が高評価。 |
福ちゃんは、作家物や古い着物にも対応している着物買取業者です。
出張や宅配により、申し込みから査定、契約までを自宅で完了できます。
訪問時の対応が丁寧で、細かな質問にも応じてもらえるため、取引内容を正確に把握したい人にも適しています。
着物プレミアムは女性スタッフによる訪問対応が標準となっている
項目 | 内容 |
---|---|
対応方法 | 出張・宅配 |
店舗利用の要否 | 不要(完全非対面) |
査定料 | 無料 |
返送料 | 無料 |
特徴 | 女性スタッフ専任制度あり。初めての方や一人暮らしの方に安心感。 |
着物プレミアムは、非対面で着物を売却できる出張・宅配専門の買取業者です。
女性査定員が対応する仕組みが整っており、防犯面への配慮や室内対応への不安が少ない設計となっています。
利用者のプライバシーに配慮された体制を希望する場合に適した選択肢です。
久屋は証紙付きや高級着物を専門的に査定できる非対面業者
項目 | 内容 |
---|---|
対応方法 | 宅配・出張 |
店舗利用の要否 | 不要(非対面完結可能) |
査定料 | 無料 |
返送料 | 条件付きで無料 |
特徴 | 証紙付きや作家物の高額査定に強み。専門性の高さが魅力。 |
久屋は、証紙付きや伝統工芸品など高級着物の査定に強みを持つ買取業者です。
宅配や出張での非対面取引が可能で、申し込みから入金まで自宅で手続きを進められます。
希少性の高い着物の価値を評価してもらいたい場合に適しています。
ザ・ゴールドは着物も含め非対面で丁寧に対応する全国対応業者

項目 | 内容 |
---|---|
対応方法 | 出張・宅配・店舗(ただし来店不要) |
店舗利用の要否 | 不要(申込み〜契約まですべて非対面可) |
査定料 | 無料 |
返送料 | 無料 |
特徴 | 着物買取も非対面で完結できる。丁寧な査定説明と全国対応が魅力。 |
ザ・ゴールドは、着物を含む幅広い品目の買取をおこなう業者で、出張や宅配により来店せずに取引を完了できます。
着物の特徴や状態について詳しく説明を受けながら進めることができるため、査定内容を把握して納得したうえで進めたい人に向いています。
査定額を上げるには申し込み前の準備と情報整理が必要になる
着物の査定額を高めるためには、申し込み前の準備と情報整理が欠かせません。
提供する内容と保管状態によって、提示される金額は大きく変わる可能性があります。
証紙や箱などの付属品、保管環境、複数業者から集めた相場情報などをあらかじめ整理しておくと、適正な価格での売却につながりやすくなります。
申し込み前に取り組むべき具体的な準備内容を以下にまとめます。
証紙や付属品をそろえれば評価額が上がりやすくなる
証紙は、着物が特定の産地や織元で作られたことを証明する書類です。
大島紬や結城紬などの伝統工芸品には、地域の組合などが発行する証紙が添付されており、信頼性のある品であることを裏付けます。
仕立て前の反物には、商標タグや反物証明がついていることもあり、評価の材料となります。
以下のような付属品がそろっていると業者が価値を判断しやすくなり、査定額が上がりやすくなります。
付属品の種類 | 期待される効果 |
---|---|
証紙 | 産地の正規品であることを示し、信頼性を高める |
たとう紙や箱 | 保管状態の良さを伝え、減額の可能性を下げる |
保管袋やタグ | 使用感が少ないことを示し、新品に近い評価を得やすくなる |
特に伝統工芸品や作家物を売却する場合は、付属品の有無が価格に与える影響が大きくなります。
保管中の汚れやにおいを防げば減額される可能性を下げられる
着物の査定では、状態が買取価格の評価基準となります。
シミや色あせ、においが確認された場合は、減額対象とみなされやすくなります。
保管環境を整えることが、査定結果に大きく影響する要素の一つです。
以下のような対策を取っておけば、汚れなど状態が原因の減額を防げます。
管理項目 | 対応策 |
---|---|
湿気対策 | 除湿剤を活用し、押し入れではなく風通しの良い場所に保管する |
光対策 | 直射日光を避け、暗所に保管する |
におい対策 | 無香タイプの防虫剤を適量使用する |
汚れやにおいが見られる場合でも、自己判断でのクリーニングは避けるのが賢明です。
繊細な生地が多いため、洗浄によってかえって傷みが生じるおそれがあります。
状態に不安があるときは、事前に査定業者へ相談し、対処法を確認しておきましょう。
複数業者の相場を比較すれば適正な価格帯を見極めやすくなる
買取業者によって査定基準は異なり、得意とする着物の種類や査定方法に差があるため、同じ品でも評価額が大きく異なる場合があります。
そのため、申し込み前に複数の業者から見積もりを取得し、内容を比較しておくことが有効です。
比較をおこなう際は、次の観点を表にまとめておくと判断しやすくなります。
比較項目 | チェック内容 |
---|---|
査定額の内訳 | 基準価格や減額理由、付属品の評価の有無を記録する |
対応の丁寧さ | 連絡の早さや説明のわかりやすさなどを確認する |
送料や返送料 | 負担の有無、条件付き無料の可否などを比較する |
単に金額だけを見るのではなく、その金額がどのような基準で提示されたかを把握することが大切です。
事前に情報を整理しておけば、納得のいく業者を選びやすくなります。
証紙の有無や保管状態の工夫、そして相場の比較といった準備をおこなえば、着物をより良い条件で売却しやすくなるでしょう。
非対面取引で起こりやすいリスクは輸送と個人情報の管理で防げる
宅配や出張による非対面型の買取では、着物を自宅から売却できる反面、発送中の破損や費用について事前に把握しておくことが必要です。
配送時の破損や査定時に提出した着物の情報、キャンセル時の返送料の条件なども、申し込み時に確認しておくことで起こりうる問題を回避できます。
申込み前に業者が設けている対応条件や補償内容を確認しておけば、こうした問題は回避しやすくなります。
以下では、非対面取引を安心して利用するために確認すべき三つのポイントを紹介します。
輸送時の破損を避けるには梱包材と保険の条件を確認する
査定のために着物を宅配で送る場合や、写真を用いて仮査定を受ける場合には、配送中の取り扱いや梱包状態によって破損が生じる可能性があります。
とくに正絹などデリケートな素材は、折りジワや湿気の影響を受けやすく、配送中の取り扱いによって状態が悪化する可能性があります。
破損トラブルを防ぐには、次のような事前対策が有効です。
対策項目 | 内容 |
---|---|
梱包材の選定 | 厚紙製のたとう紙や防水性のあるビニール袋で包み、段ボール内に緩衝材を入れる |
配送方法の確認 | 着払いか元払いかにかかわらず、追跡番号が付いた配送方法を選ぶ |
輸送保険の確認 | 破損時の補償上限や、申請に必要な書類・期限を確認しておく |
買取業者によっては、輸送保険が適用される条件や上限額が異なります。
申込みの際に、保険内容の詳細を確認し、不足がある場合は補償対象外となる可能性があることも理解しておく必要があります。
個人情報を守るには画像と書類の管理と削除可否を確認する
非対面で買取を申し込む際には、以下のような個人情報を提出する必要があります。
- 着物の写真
- 身分証の画像(運転免許証や保険証など)
- 氏名、住所、電話番号、口座番号などの基本情報
提出した情報の取り扱いが不明確なまま取引を進めると、個人情報の流出や悪用される危険性もあります。
事前に確認すべき代表的な項目
確認項目 | 内容 |
---|---|
画像データの管理 | 仮査定で送付した写真が保管される期間、目的を確認する |
身分証の取り扱い | 本人確認書類が査定終了後に削除されるかを確認する |
情報削除の申請 | 個人情報の削除希望がある場合、対応可能かをあらかじめ問い合わせる |
大手を中心とした買取業者は、個人情報保護方針に沿って管理体制を整えており、一定の削除対応や問い合わせ窓口も用意されています。
ただし、対応内容には業者ごとの差があるため、削除依頼への対応実績や規定の明文化状況を比較したうえで判断することが大切です。
振込時期と返送料の条件を確認すれば想定外の損失を防げる
査定に同意して着物を売却しても、入金予定日や返送料の取り扱いが不明確なままだと、支払いの見通しが立たず金銭的な負担が増える場合があります。
取引時の誤解や負担を避けるためには、次の項目を事前に確認しておくことが求められます。
項目 | 確認ポイント |
---|---|
振込予定日 | 査定承諾後、即日入金か数営業日以内かを明確にしておく |
入金方法 | 銀行振込か現金書留か、振込手数料の有無も含めて確認する |
返送料の条件 | キャンセル時の返送料が無料か、有料か、地域限定かなどの扱いを確認する |
買取業者によっては、査定額に同意しなかった場合は元払いなど利用者に送料を負担させる場合もあります。
事前にチェックしておけば、申し込み後の想定外の出費を回避しやすくなります。
非対面で着物を売却する際には利便性だけでなく、事前に確認すべき項目を意識しておく必要があります。
発送前の対策や情報管理の方法、返送や入金の条件を整理しておくことで、取引を円滑かつ適正に進めることができます。
書面や契約条件を確認すれば問題発生時に法制度で対応しやすくなる
着物の買取を非対面でおこなう際には、申込みから契約成立までの過程が簡略化されているため、内容を十分に把握しないまま取引が進むことがあります。
結果、納得できない査定や返却条件を巡って認識の行き違いが生じた場合、買取業者とのやりとりが不利に進むおそれがあります。
契約内容に関する問題を避けるには、契約時に交付される書面や取引条件を事前に確認し、必要に応じて法制度を根拠とした対応ができる状態を整えておくことが重要です。
以下では、書面と契約に関連する三つの確認項目を紹介します。
査定結果の承諾期限を確認すれば強引な契約を回避しやすくなる
査定額が提示された後、契約が正式に成立するタイミングは買取業者ごとに異なります。
- メールや電話で了承した時点で契約とみなす場合
- 書面に署名・押印をして初めて契約が成立する場合
- 査定結果の送付後、一定期間を経て自動的に承諾と判断される場合
契約が成立すると、買取品の返却を断られる場合や、キャンセルに手数料がかかる可能性があります。
査定結果を聞いた後、承諾を保留できる期限や返却可能な期間を事前に確認しておくことで、急な決断を迫られても落ち着いて対応しやすくなります。
業者の説明が不明確な場合は、承諾の期限や契約成立の基準について具体的に確認しておくことが大切です。
契約書の交付有無を確認すれば書面トラブルを防げる
出張や宅配などの非対面取引は、特定商取引法における訪問購入に該当する場合があり、書面による契約内容の通知が義務付けられています。
特定商取引法では、事業者が契約内容を明記した書面を交付する義務があり、記載項目の範囲も具体的に定められています。
書面が交付されないまま契約が進むと、取引条件の確認ができず、後から条件変更や返却を求めても認識の違いから対応してもらえない可能性があります。
契約書の交付有無や送付手段、保存期間、記載内容の確認方法について、事前に具体的に確認しておくことで、必要な場面で根拠を示しやすくなります。
とくに出張買取ではその場での口頭契約に頼る業者もあるため、書面での記録を求めることが重要です。
特定商取引法に基づくクーリングオフ制度を把握すれば返却拒否を防げる
クーリングオフ制度は、契約後であっても一定の条件を満たせば、契約を解除できる制度です。
特定商取引法では、訪問購入に該当する取引において、以下の条件をすべて満たす場合にクーリングオフ制度が適用されます。
- 買取業者が訪問して取引を持ちかけたこと
- 契約書を交付されていること
- 契約書を受け取ってから8日以内であること。
期間内であれば、理由にかかわらず契約を解除し、代金を返して着物を戻してもらうことが可能です。
上記のとおり、クーリングオフ制度を活用すると契約後であっても、一定の条件を満たせば解除できます。
買取業者による説明不足や強引な対応によって誤って契約した場合でも、消費者を保護するために設けられている制度です。
制度を活用するには、以下のような条件の確認が必要です。
確認項目 | 内容 |
---|---|
書面の受領日 | 契約書を受け取った日から起算して8日以内かどうかを確認する |
返送先と方法 | 着物の返送先住所や返送方法の案内があるかを確認する |
返金方法 | 支払った代金の返金方法と期限について説明を受けているか確認する |
業者によっては、クーリングオフの制度自体に触れずに取引を進めようとするケースもあります。
制度の対象となるかどうかを判断できるよう、契約前に対応方針を明確にしておくことが重要です。
非対面の買取では、書類の不備や連絡内容のあいまいさによって、予期せぬ不利益を被るおそれがあります。
事前に確認しておくべき主な項目は以下のとおりです。
確認項目 | 内容 |
---|---|
契約の成立時点 | どの段階で契約が確定するか(口頭、書面、期間経過など) |
契約書の交付方法 | 書面の有無、交付方法(手渡し、郵送、メール)と保存期間 |
クーリングオフ制度 | 契約後8日以内に無条件で解約できるか、その手続き |
書面の交付状況や制度上の対応策を把握しておけば、万一の際にも冷静に対応することができます。
出張買取は申込みから支払いまで四つの手順で完了する
出張買取は、自宅にいながら査定から契約、支払いまでを完結できる売却手段です。
店舗に足を運ぶ必要がなく、着物を大量に運搬する負担もありません。
申し込みから代金の受け取りまでの流れは4つに分けることができ、各手順ごとに事前の確認事項があります。
以下では、出張買取の流れに沿って、各手順での要点を解説します。
オンライン申込み後に電話で訪問日時が決定される
出張買取を利用する場合、最初の手続きは業者の公式サイトや電話による申し込みです。
申し込み時には、次の情報を伝える必要があります。
- 利用者の氏名と住所
- 連絡先(電話番号やメールアドレス)
- 売却希望の着物の種類や点数
あとは買取業者から確認の連絡が入り、訪問日時の調整がおこなわれます。
当日は交通事情や訪問順によって到着時間が前後することがあるため、事前に連絡手段や当日の流れを確認しておく必要があります。
訪問前に次のような点を申込み時点で確認しておくと、手続きが円滑に進みます。
- 着物以外の帯や小物も査定対象になるか
- 訪問時の担当人数(1名か複数か)
- 査定に要するおおよその時間
- 当日に必要なもの(本人確認書類、着物の保管状態など)
特に複数社に申込みをしている場合や、急ぎの売却を希望する場合は、訪問可能な日程を伝えておくことが重要です。
査定当日は本人確認書類が必要でその場での同意が求められる
訪問査定当日は、業者が自宅を訪れ、玄関先や室内の指定場所で着物の状態を確認します。
査定では1枚ずつ丁寧にチェックがおこなわれ、主な評価基準は以下のとおりです。
- 汚れやしみ、ほつれなどの劣化状態
- 証紙やタグの有無
- 作家名やブランド名の確認
- 素材(正絹、ウール、化繊など)の種類
査定が終わると、その場で査定結果と買取額が提示されます。
買取契約を成立させるためには、運転免許証や保険証など本人確認書類の提示が必要です。
古物営業法により、取引時には必ず本人確認書類の提示が義務付けられています。
査定額に納得できた場合は、口頭や書面での同意によりその場で契約が成立します。
契約が確定すると返却や変更が難しくなるため、了承の前に必ず条件を確認しておく必要があります。
契約書の内容はその場で読み上げることは少なく、記載内容は自分で確認する必要があります。
不明点があれば、その場で質問して確認する姿勢が重要です。
納得できない場合はその場での即決を避けて対応を整理する
査定額に納得できない場合は即断せず、冷静に検討することが重要です。
業者が自宅を訪れる出張買取では、冷静な判断がしづらくなることがあります。
買取業者の説明に納得できないときや、契約を急がされたと感じたときは一度、契約を保留しましょう。
契約を保留にしたうえで、次のような手順を確認しておくと冷静に対応できます。
- 契約書や明細は必ず受け取り、内容を持ち帰って確認する
- 不明点がある場合は消費生活センターや自治体の窓口に相談する
- すでに契約した後でも、特定商取引法に基づくクーリングオフ制度が使える場合がある
契約書を受け取った日を起点に8日以内であれば、特定商取引法に基づき契約を解除できる場合があります。
返却方法や業者への連絡手段については、契約書面の記載内容をもとに確認しておく必要があります。
支払い方法と支払日を事前に確認しておく
出張買取における支払い方法は、業者によって異なります。
その場で現金を受け取るケースもあれば、後日指定口座へ振り込まれる場合もあります。
後日振込の場合は、以下の点について事前に確認しておくことが重要です。
- 振込予定日と振込先口座の情報
- 振込元名義と金額の明細
- 振込完了の連絡方法(メール、電話など)
現金支払いの場合でも、金額の確認とあわせて受領書や明細の交付を求めておくと安心です。
支払いに関する誤解を防ぐため、契約成立時に具体的な方法と支払日を明示してもらうことが大切です。
実際に店舗なし業者で取引した人の口コミを紹介
以下は、宅配や出張などの店舗を持たない着物買取業者を利用した人の体験談です。
年齢や地域、着物の種類ごとに異なる背景や評価を通じて、業者選びの参考になります。
50代・女性・東京都在住
自宅にあった訪問着を売却するために宅配買取を利用しました。発送用のキットがすぐ届き、梱包も簡単でした。メールでの査定連絡も丁寧で、提示額にも納得できました。振込も早く、対応に不満はありませんでした。
30代・男性・愛知県在住
祖母から譲り受けた大島紬を出張で査定してもらいました。説明が丁寧で、素材や証紙の価値についてもきちんと教えてくれました。その場で契約しましたが、現金で支払ってくれたので安心感がありました。
60代・女性・北海道在住
振袖を複数枚売りたくて、宅配業者を利用しました。事前に査定結果の連絡が来て、納得できたので買取をお願いしました。箱の大きさや梱包の仕方がわかりやすく案内されていて、ストレスなく手続きできました。
40代・男性・大阪府在住
母の遺品整理で着物を手放すことになり、出張査定を依頼しました。スタッフが一人で来てくれましたが対応がとても親切でした。その場での判断に不安があったので一度保留にしたところ、嫌な顔もせず丁寧に対応してくれました。
20代・女性・福岡県在住
ネットで調べて宅配買取を利用しました。事前査定と実物査定に少し差がありましたが、メールで丁寧に説明があり納得できました。初めての利用でしたが、全体的にスムーズでした。
店舗なし業者の出張買取に関するよくある質問と回答
- 着物の出張買取は本当に無料で利用できますか?
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多くの業者が、出張料・査定料・キャンセル料すべてを無料としています。売却を見送った場合でも費用はかからないのが一般的ですが、離島や遠方では例外があるため、申込み時に確認が必要です。
- 出張で着物の査定だけお願いすることはできますか?
-
査定のみの依頼も可能です。出張後に売却しなくても料金は発生しません。ただし、業者によってはその場での成約を前提にしている場合もあるため、事前に「査定のみ希望」と伝えるとスムーズです。
- 汚れた着物や古い着物でも出張買取してもらえますか?
-
汚れやシミがある着物でも、素材や種類によっては査定対象になります。作家物や伝統工芸品は状態が悪くても評価されることがありますが、傷みが激しい場合は減額される可能性があります。
- クーリングオフ制度は出張買取でも使えますか?
-
訪問購入に該当する出張買取では、契約書を受け取ってから8日以内であればクーリングオフが可能です。書面の交付がない場合や説明が不十分だった場合にも制度が適用されることがあります。
- 証紙が付いていない着物でも買取できますか?
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証紙がなくても、素材や織りの技法によっては価値が認められることがあります。大島紬や結城紬などは専門業者が目視で判断するケースもあるため、証紙の有無にかかわらず査定に出す価値はあります。
- 男性用の着物や和装小物も出張で査定してもらえますか?
-
男性着物や羽織、帯なども買取対象です。ただし需要が少ないため、査定額が低くなる傾向があります。状態が良いものや希少な品は評価されやすく、小物類についても一部は査定対象になります。
- 着物の出張買取で即日支払いしてもらえますか?
-
業者によって異なりますが、その場で現金払いをおこなうところもあります。後日振込の場合は、振込予定日や明細の有無を契約時に確認しておくとトラブルを防ぎやすくなります。
- 地方でも出張買取に来てもらえますか?
-
全国対応を掲げる業者も多く、都市部以外でも出張可能なケースがあります。ただし、対応エリア外や最小点数の制限がある業者もあるため、申込み前に公式サイトなどで確認しておくと安心です。