着物を手放すとき、気になるのが「いくらで売れるのか」という買取価格です。
しかし、その金額は一律ではなく、着物の種類や素材、保存状態、市場での需要など、さまざまな要素によって大きく変動します。
思い出の詰まった品だからこそ、できるだけ納得のいく形で売却したいものです。
この記事では、着物の買取価格がどのように決まるのかを軸に、査定額を上げるための準備、売却方法の選び方、実例を踏まえた注意点までを総合的に解説します。
相場を理解したうえで適切に対応すれば、大切な着物が本来の価値をもって評価される可能性が高まります。
着物の買取価格は種類と状態、需要によって決まる
着物の査定額は、いくつかの基本要素によって構成されます。
特に重視されるのは種類や状態、現在の市場でどれだけ求められているかです。
これら三つの観点が組み合わさることで、価格に大きな差が生まれます。
たとえば、状態が良くても需要がなければ高値はつきません。
過去6ヶ月、個人売買などで着物の買取相場を調査した結果
月 | 振袖(買取中心帯) | 訪問着 | 留袖 | 紬 | 小紋 |
---|---|---|---|---|---|
2024年10月 | 145,000 円 | 116,000 円 | 102,000 円 | 73,000 円 | 58,000 円 |
2024年11月 | 145,000 円 | 116,000 円 | 102,000 円 | 73,000 円 | 58,000 円 |
2024年12月 | 145,000 円 | 116,000 円 | 102,000 円 | 73,000 円 | 58,000 円 |
2025年1月 | 145,000 円 | 116,000 円 | 102,000 円 | 73,000 円 | 58,000 円 |
2025年2月 | 146,000 円 | 117,000 円 | 103,000 円 | 73,000 円 | 59,000 円 |
2025年3月 | 147,000 円 | 118,000 円 | 103,000 円 | 74,000 円 | 59,000 円 |
反対に多少の使用感があっても、希少価値の高い品であれば評価される可能性もあります。
以下では、査定基準として重視される主な項目を一つずつ確認していきます。
着物の種類によって買取価格の傾向が異なる
着物は種類によって使用目的や人気度が大きく異なります。
たとえば、式典用に用いられる格式の高いものは、再販需要が安定しており、査定額が高くなりやすいです。
反対に、日常着として着用されていたカジュアルな着物は、現代では使う人が限られるため、評価が低めになりがちです。
とはいえ、伝統的な技法で織られた高級な日常着も存在するため、種類だけで判断するのは早計です。
着物の種類と相場傾向
種類 | 用途 | 買取相場の傾向 | 市場での需要 |
---|---|---|---|
振袖 | 成人式や結婚式 | 高め | 安定している |
訪問着 | 式典や改まった場への着用 | 高め | 安定している |
紬 | 普段着や趣味着 | やや低め(例外あり) | 一部の愛好家に人気 |
小紋 | カジュアルな日常着 | 低め | 限定的 |
振袖や訪問着は式典用として高く評価されやすい
成人式や結婚式で着用される振袖、そして格式のある場に適した訪問着は、中古市場でも需要があります。

特に未使用に近い状態や、流行に合った色柄のものは、買い手がつきやすく査定でも有利です。
さらに、有名な作家による作品や、刺繍や金彩加工が丁寧に施された着物は、高額査定につながる傾向があります。
式典用の着物は活用シーンが明確なため、業者にとっても再販しやすく、積極的に買い取られることが多いです。
紬や小紋は用途が限られ、査定額も抑えられることが多い
紬や小紋は、もともと日常使いの着物として広まりました。
そのため、中古市場での需要は高くなく、一般的には買取価格が控えめに設定されているのが特徴です。
ただし、結城紬や大島紬など歴史ある織物や人気の高い産地の品であれば、例外的に高く評価される場合があります。
保存状態が良く、証紙が付いていれば、予想以上の金額がつくこともあります。
素材や証紙の有無が査定価格に大きく影響する
着物の価値を決めるうえで、素材と証紙は非常に重要な要素です。
素材が上質であれば、見た目の美しさや肌ざわりに加え、着心地や風合いにも差が出ます。
また、証紙はその着物が正規のルートで作られたことを証明するものであり、信頼性を担保する手がかりになります。
特に伝統工芸品やブランド産地の品では、証紙の有無が価格に大きな影響を与えます。
正絹は化繊よりも評価されやすい
正絹は絹を100パーセント使った高級素材であり、見た目の艶や肌ざわりに上品さがあります。
伝統的な和装では、格式を重んじる場面で選ばれることが多く、査定時にも高く評価されやすいです。
一方、ポリエステルやウールといった化学繊維で作られた着物は、普段着やコストを抑えた入門用として用いられます。
耐久性が高く手入れもしやすいですが、再販価値はそれほど高くないため、買取価格は抑えられる傾向があります。
証紙や箱などの付属品があると信頼度が高まる
証紙は、産地や作家、織元などを特定するための証明書であり、品物の価値を裏づける役割を果たします。
特に大島紬や結城紬など、伝統的な産地ブランドの着物では、証紙の有無によって査定額が大きく変わることがあります。
また、購入時の箱やたとう紙が残っていれば、丁寧に保管されてきたことの証明になり、好印象を与えます。
付属品の有無は、単なる装飾ではなく、査定においてしっかりと評価される要素です。
保管状態と市場の需要によって価格が上下する
着物は非常に繊細な織物であるため、保管状態の影響を受けやすいです。
どれだけ価値のある品でも、状態が悪ければ大きく減額されてしまいます。
また、現在の市場ニーズに合っているかどうかも重要です。
サイズや色柄が現代的であればあるほど、再販しやすく、業者側も積極的に買取を行う傾向があります。
シミやにおいの有無は減額要因になる
着物は湿気に弱く、長年の保管によってシミやカビ、虫食い、そしてにおいが発生することがあります。
これらの状態不良は、たとえ高級な品であっても減額の対象となります。
とくに黄ばみや汗じみ、虫食いの穴などは、再販が難しくなるため注意が必要です。
買取を検討する前には、日陰での干し直しや風通しを良くするなど、簡単なケアを施すことが望まれます。
人気のサイズや色柄は高評価につながる
着物はサイズの合う人にしか着用できないため、標準よりも大きめのものが好まれやすい傾向にあります。
たとえば、身丈が160センチ以上、裄丈が68センチ以上あると、より多くの人に着用してもらえるため、評価が高まります。
さらに、落ち着いた色味や流行に合った柄は、年齢を問わず支持される傾向があり、再販の見込みも高くなります。
このように、実用性と現代性の両方を備えた着物は、買取価格が高くなる可能性が十分にあります。
査定価格を上げるために準備しておくべき五つのこと
着物の査定額は、査定に出す前の準備によって変わることがあります。
特に目に見える汚れやにおい、保管状態の悪さなどは、見た瞬間にマイナス評価となりがちです。
一方で、証紙や付属品が揃っていたり、きれいに整えられていたりすると、同じ着物でも査定額が上がることがあります。
以下では、査定価格を上げるために実践できる五つの準備について紹介します。
特別な技術や費用は必要なく、自宅でできる簡単な対策が中心です。
証紙や付属品を整理しておく
証紙は、着物の品質や産地を証明する重要な書類です。
大島紬や結城紬などの伝統工芸品では、証紙の有無が価格に大きな影響を与えます。
また、購入時の箱やたとう紙、作家名の書かれたしおりなども、丁寧に保管されていれば査定時に好印象を与えます。
- 証紙は折れや汚れがないように整えておく
- 落款があれば、確認しやすい状態にしておく
- 箱やしおりが残っていれば一緒に提出する
査定士にとっては、価値を裏づける材料が多いほど判断がしやすく、結果的に査定額も高くなりやすくなります。
汚れやにおいを事前に確認する
見た目やにおいは、査定時の第一印象を左右する重要なポイントです。
たとえ軽い汚れであっても、未処理のままではマイナス評価になることがあります。
以下のような点は、査定前に確認し、可能な範囲で対処しておきましょう。
- 目立つシミや黄ばみがないか
- カビ臭やタバコ臭、防虫剤の強い香りがないか
- ほこりやゴミが付着していないか
シミ抜きや洗浄は、無理に自分でおこなうと生地を傷めることがあります。
軽い陰干しや、表面のホコリをやさしく払う程度にとどめるのが安全です。
着物専門の業者に査定を依頼する
買取業者の中には、ブランドバッグや洋服など幅広く扱うところもありますが、着物については専門性が求められます。
専門知識がない業者では、価値を見落として正当な価格がつかないこともあるため、着物専門の業者に依頼するのが賢明です。
査定対象 | 専門業者の強み |
---|---|
作家もの | 落款や特徴を見極められる |
伝統工芸品 | 証紙や織元に関する知識がある |
フォーマル着物 | 格式や用途による需要を理解している |
着物の背景にある価値まで理解してもらえることで、査定額が正しく反映されやすくなります。
複数の業者で査定額を比較する
買取額に納得するためには、複数の業者に査定を依頼して比較することが重要です。
業者によって得意とするジャンルや販売ルートが異なるため、同じ着物でも査定額に差が出ることがあります。
- 少なくとも2社以上で査定を受ける
- 査定結果だけでなく、説明の丁寧さも確認する
- 査定額の根拠を明確に伝えてくれるかを見極める
一社だけで即決するのではなく、比較検討することで価格の妥当性を見極めやすくなります。
需要が高まる時期を狙って売却する
着物には季節ごとの需要があり、売却のタイミングによって買取価格が変わることがあります。
時期 | 高く売れやすい理由 |
---|---|
年末年始前 | 成人式に向けた振袖の需要が増加 |
春(卒業・入学) | 訪問着・色無地が選ばれやすい |
秋(七五三・婚礼) | フォーマル着物全般の流通が |
イベントや行事が多い時期は買い手が増えるため、業者側も積極的に仕入れをおこなうため、売る時期を少し調整するだけでも、価格アップの可能性が高まります。
では、どのような着物が「高く評価されやすいのか」を、実際の傾向にもとづいて確認していきます。
高く売れる着物には共通する特徴がある
着物の買取価格は一律ではなく、なかには特に高く評価されやすいものがあります。
もちろん保存状態や付属品の有無も大切ですが、それ以上に、需要のある種類や人気のあるデザインであるかどうかが大きく関係してきます。
こうした条件に該当する着物は、中古市場でも安定して高値がつく傾向があります。
以下では、査定の現場で高く評価される着物の特徴を紹介します。
現在所有している着物が、これらに該当するかどうかを判断する際の参考にしてください。
作家ものや伝統工芸品は高評価を受けやすい
着物の中でも、知名度の高い作家の作品や、伝統的な技法でつくられた工芸品は、市場価値が安定しています。
特に以下のような条件を満たすものは、コレクターや愛好家からの需要も高く、高額査定が期待できます。
- 落款(作家の印)が確認できる
- 証紙付きの伝統工芸品である
- 生産数が限られており流通量が少ない
- 加賀友禅
- 牛首紬
- 久米島紬
- 京友禅
上記の着物は仕立てが丁寧で芸術性も高く、鑑賞用や収集用としての価値も評価されます。
フォーマル着物は需要が安定している
振袖や訪問着など、フォーマル用途で着用される着物は、冠婚葬祭や式典に向けての需要が継続的にあります。
そのため、買取市場でも人気が高く、状態さえ良ければ高値がつきやすいです。
着物の種類 | 主な用途 | 市場での評価 |
---|---|---|
振袖 | 成人式・結婚式 | 高め・安定している |
訪問着 | 入学式・卒業式・茶会 | 高め・安定している |
色無地 | 略式礼装 | やや高め |
とくに未使用品や近年のトレンドに合った色柄のものは、業者にとっても再販しやすく、積極的に仕入れ対象となります。
現代的なデザインやサイズも好まれる傾向にある
現代のライフスタイルや体型に合った着物は、実用性の高さから一定の需要があります。
たとえば、次のような特徴を持つ着物は、若い世代からも支持されやすく、高評価につながることがあります。
- 落ち着いた配色や、シンプルでモダンな柄
- 大きめのサイズ(身丈160センチ以上・裄丈68センチ以上)
- 未使用に近い、または着用回数が少ないもの
再販しやすい=売れやすいと判断されるため、業者側も高めの価格で査定してくれるのです。
古典柄であっても、色合いや仕立てが洗練されていれば、高い実用価値として評価されることもあります。
この章では、高く評価される着物の特徴について紹介しました。
反対に査定額が下がりやすい着物の特徴について、確認していきます。
査定価格が下がりやすい着物の特徴を把握しておく
着物を売却する際には、どのような条件で査定額が下がるのかを事前に知っておくことが重要です。
「古い」「使っていた」といった理由だけでなく、素材やサイズ、保管状態など、評価に影響する要因は複数あります。
あらかじめ減額ポイントを理解しておけば、買取前に対策をとることも可能です。
では、査定額が下がりやすい着物の特徴について、具体的に紹介します。
ウールや化繊などは査定がつきにくい
着物の素材によって、買取価格には大きな差が出ます。
なかでもウールやポリエステルなどの化学繊維でできた着物は、以下の理由から評価されにくくなります。
- 正絹に比べて肌ざわりや光沢感が劣る
- 普段着用としての用途が限られる
- 中古市場での再販価格が安定しない
化繊の着物は自宅で洗えるなどの利便性はありますが、リユース市場でのニーズは限定的です。
そのため、査定額がつかない、もしくは非常に低くなるケースが多くなります。
汚れや劣化がある着物は大きく減額される
着物は繊細な織物であり、わずかな傷や汚れでも大きく評価が下がることがあります。
特に査定時に注意されるポイントは以下のとおりです。
- シミやカビ、黄ばみがある
- 虫食い跡や糸のほつれがある
- カビ臭や防虫剤、タバコのにおいが強い
上記の問題があると、業者側でのクリーニングや修繕の手間がかかるため、その分が差し引かれます。
- シミや黄ばみが目立つ
- 裏地に変色やカビがある
- においが強く残っている
- 生地に傷みがある
再販可能な状態であるかが査定の分かれ目になるため、事前に状態をチェックしておくことが大切です。
小さすぎるサイズは再販が難しくなりやすい
着物は洋服のようにサイズ調整が難しく、体型に合わないと着用できません。
そのため、極端に小さいサイズの着物は、買い手が限られてしまい、査定額が低くなる傾向があります。
具体的には、以下のような寸法の着物は再販しにくいと判断されることがあります。
減額されやすいサイズ例 | 着物の寸法が基準に満たない場合 |
---|---|
身丈155cm未満 | 現代女性の平均身長に合わず需要が限られる |
裄丈65cm未満 | 腕の長さに対応せず着用に違和感が出る可能性あり |
体型に合うかどうかが重要視されるため、着用対象が狭まるサイズの着物は買取価格が下がることになります。
この章では、査定価格が下がりやすい着物の特徴について紹介しました。
次章では、売却方法の種類と、それぞれの特徴や注意点について整理していきます。
目的や状況に応じた方法を選ぶことで、より満足のいく取引が可能になります。
着物の売却方法ごとの特徴を理解して選ぶ
着物の買取は、必ずしも「店頭に持ち込む」だけではありません。
現在では、宅配や出張、さらにはフリマアプリを使った個人間取引など、売却方法の選択肢が多様化しています。
それぞれにメリットと注意点があり、自分の目的や着物の内容に合った手段を選ぶことが、納得のいく売却につながります。
ここでは、代表的な四つの売却方法について特徴を比較しながら紹介します。
店舗買取は即現金化が可能だが条件に注意が必要
実店舗に着物を持ち込んで、査定してもらう方法です。
対面でやりとりできるため安心感がありますが、すべての店舗で着物の取り扱いがあるわけではないため、事前に確認が必要です。
項目 | 内容 |
---|---|
査定スピード | 即日対応が多く、その場で現金化できる |
対応店舗 | すべての買取店舗が着物を扱っているわけではない |
注意点 | 店舗までの交通費や時間がかかる場合がある |
特に都市部では対応店舗も多いため、急いで売りたい場合には適した方法といえます。
出張買取は大量処分や高額品に向いている
専門の査定士が自宅まで来訪し、査定・買取をおこなってくれる方法です。
持ち運びの手間がなく、量が多い場合や価値の高い着物を査定してもらえます。
- 対面で査定してもらえる安心感がある
- 店舗が遠くても利用しやすい
- 一括処分にも向いている
ただし、出張可能エリアが限定されていることがあるため、事前にエリア対応状況を確認しておきましょう。
宅配買取は利便性が高く全国対応している
宅配買取は、段ボールに詰めて送るだけで査定や買取をしてくれます。
時間や場所に縛られず、全国どこからでも利用できるため、利用しやすいのも特徴です。
特徴 | 内容 |
---|---|
利用手順 | 専用キットで着物を送付、後日査定結果を受け取る |
コスト | 送料・査定料・キャンセル料が無料の業者もある |
向いている人 | 店舗や出張が難しい地域に住んでいる人 |
ただし、対面での説明がないため、査定の詳細を事前に把握しておくと安心です。
フリマやオークションはトラブルリスクがある
個人で直接売買をおこなう方法は、自分で価格を設定できるため、業者よりも高く売れる可能性があります。
一方で、トラブルや手間が発生しやすく、次のような点には注意が必要です。
- 配送事故やクレームのリスクがある
- 購入者とのやりとりに時間がかかる
- 真贋や状態説明に責任が発生する
メリット | デメリット |
---|---|
希望価格で売却できる可能性がある | 出品や連絡、発送などすべて自分で対応が必要 |
着物の魅力を自分で伝えられる | 販売に時間がかかる/専門知識が求められることもある |
十分な知識と経験があれば有利に進められますが、初心者にとってはハードルの高い手段です。
買取を依頼する業者を選ぶ際に注意したいポイントについて紹介していきます。
着物買取で失敗しないための業者選びの基準を押さえる
着物を納得して手放すためには、「どこに売るか」が大きなカギになります。
業者によって、査定の正確さや対応の丁寧さ、アフターサービスの内容が大きく異なるためです。
信頼できる業者を選ぶことで、不当な減額や後悔の残る取引を避けることができます。
では、着物の買取で失敗しないために確認しておきたい業者選びの基準を紹介します。
着物に特化した業者は専門知識と相場理解がある
着物専門の業者は、伝統工芸品や作家もの、フォーマル着物などに関する深い知識を持っています。
また、中古市場の動向に詳しいため、適正価格で査定してくれる可能性が高いです。
比較項目 | 着物専門業者の特徴 |
---|---|
査定力 | 証紙・落款・技法などを総合的に判断できる |
相場理解 | 現在の流通価格やトレンドを把握している |
取扱実績 | 高級品や年代物も数多く扱っている |
ブランド買取や総合リサイクル業者とは異なり、着物に特化した視点で評価してもらえるのが強みです。
査定の丁寧さや費用負担の有無は重要な判断軸になる
査定の際には、価格だけでなくそのプロセスや対応もチェックしておきたいポイントです。
以下のような項目は、業者の信頼性を見極める材料になります。
- 査定内容が細かく説明してくれる
- 査定料・出張料・キャンセル料が無料
- 査定結果を無理に押しつけてこない
上記が明確でない業者は、契約後にトラブルにつながる可能性もあるため、慎重な判断が求められます。
キャンセル対応やクーリングオフの制度を確認しておく
買取の現場では、「思っていたより査定額が安かった」と感じて取引をキャンセルしたくなるケースもあります。
そのようなときに重要になるのが、キャンセルの可否やその際の費用、クーリングオフ制度への対応です。
確認項目 | 内容例 |
---|---|
査定後のキャンセルは可能か | 無料で断れる/送料のみ自己負担など |
クーリングオフ制度の記載があるか | 契約後8日以内なら返品できるなど明記されている |
万が一に備えて、こうした対応の有無を事前に確認しておくと安心です。
特に出張買取の場合はその場で契約となることが多いため、書面の交付や規約の説明があるかどうかも確認しましょう。
では、実際に起こりやすい査定時の事例と、その対応方法について具体的に紹介していきます。
着物買取に関する実例とその対応策を紹介
着物の査定では、「これは売れない」と思っていたものが意外に評価されたり、反対に「価値がある」と思っていたものが予想よりも安かったりすることがあります。
こうしたギャップを避け、納得のいく取引を実現するためには、実際の査定で起こりやすいケースとその対応策を知っておくことが有効です。
ここでは、着物買取でよくある具体的な事例を取り上げ、それぞれに適した対処法を紹介します。
古い着物でも状態が良ければ査定対象になる
「何十年も前の着物だから値段はつかないだろう」と判断して処分してしまうのは早計です。
古くても保存状態が良く、伝統工芸品や希少なデザインであれば、高く評価されることがあります。
状況 | 対応方法 |
---|---|
古いがシミやにおいがなく保存状態が良い | 専門業者に証紙や生地を確認してもらう |
作家の落款や特徴的な意匠がある | 作家名を伝えて査定に反映してもらう |
保管状態と希少性の組み合わせによっては、高額査定してもらえる可能性があります。
納得できない査定額はキャンセルできる場合がある
「予想よりも査定額が低かった」「説明に納得がいかない」といった場合には、取引をいったん見送ることも選択肢の一つです。
業者によっては、査定後のキャンセルに柔軟に対応してくれるところもあります。
判断のためにとるべき対応 | 理由 |
---|---|
査定理由を質問する | 評価基準を明確に理解できる |
他社にも査定を依頼して比較する | 業者ごとの査定基準を把握できる |
納得できるまで比較や検討することで、価格だけでなく信頼できる業者かどうかの判断材料にもなります。
証紙がなくても査定や買取が可能なケースがある
証紙は査定の際の大きな判断材料ですが、紛失していても査定不可になるわけではありません。
着物そのものの品質や織り、染めの特徴から価値を見極めてもらえる場合もあります。
証紙がなくても評価されやすい要素 | 内容の例 |
---|---|
作家の落款や印がある | 特徴的な署名や図案が着物の一部に確認できる |
手仕事の技法が明確に確認できる | 染めや織りの工程に伝統的技術が見られる(友禅・絞りなど) |
証紙がないからといってあきらめず、まずはプロに見てもらうことが大切です。
大量の着物はまとめて出張査定に依頼できる
自宅に多数の着物がある場合、それぞれを梱包して送るのは手間がかかります。
こうしたケースでは、出張査定を利用することで、査定士にまとめて確認してもらうことができます。
状況 | 出張査定のメリット |
---|---|
着物が10点以上ある | その場で一括査定してもらえる |
他の和装小物も処分したい | 帯・草履・バッグなども一緒に査定してもらえる |
訪問日程を調整する手間はありますが、大量処分したい場合には効率のよい方法です。
これまでの情報を踏まえて、納得して売却するために意識すべきポイントをまとめていきます。
納得して売るためには相場と査定準備の理解が重要になる
着物の買取は、「とにかく高く売れればいい」と考えるだけでは、後悔につながる可能性があります。
なぜその価格になったのかを理解し、納得したうえで売却することが大切です。
そのためには、相場の理解と査定に向けた準備の両方が欠かせません。
では、納得のいく取引をおこなうために、事前に意識しておきたい二つのポイントについて紹介します。
相場を把握しておくことで査定交渉が有利になる
事前に大まかな相場を知っておくことで、査定額が適正かどうか判断しやすくなります。
インターネット上の買取実績や、リサイクルショップの販売価格などを調べておくと、参考になります。
- 査定額が安すぎるときに理由を確認しやすい
- 複数の業者を比較する際の基準になる
- 過度な期待や不安を避けることができる
相場は着物の種類や状態、素材によって大きく異なるため、手持ちの着物と似た特徴のものを複数調べておくとより正確です。
査定前の準備が買取価格に大きく影響することがある
同じ着物でも、査定前の準備によって印象が大きく変わります。
汚れやにおいを防いで清潔な状態に整えるだけでも、査定額が上がることがあります。
- 防虫剤や香料のにおいが染みついていない
- 袖や衿元など、摩耗しやすい部分の傷みがない
査定士は第一印象で価値を判断するため、できる限り好印象を与える準備をしておくことが有効です。
このように、納得して着物を売却するためには、相場を理解したうえで事前の準備をしっかりおこなうことが不可欠です。
適切な業者に依頼し、タイミングや状態に配慮することで、満足のいく取引を実現できるでしょう。